【これでOK】ピアノ教室・音楽教室で値上げする方法|レッスン料金・月謝
ここ数年の物価高騰がつづくなかで値上げしたい教室は多いと思いますが、一方で
「生徒がやめるのが怖い」
「申し訳ない」
と葛藤している先生も多いと思います。
本記事では、価格が与える「心理効果」もふまえながら、できるだけ円満に値上げができるための方法、条件などをご紹介していきます。
値上げをするときの状況によっては、値上げはオススメしていません。
例えば
・生徒数がまだ少ない教室
・生徒数が減ってきて売上を補填するために値上げしたい教室
といった場合、まずは値上げするよりも”生徒を増やす”ことがオススメです。
なぜなら、当たり前ですが値上げはすればするほど集客がむずかしくなってしまいます。
生徒数が増える前に値段を上げてしまうと、数少ない生徒さんの離脱や、新規生徒が増えないなどの悪循環におちいりやすいです。
状況によって、まずは生徒募集を強化したり、生徒さんの満足度を上げるための指導力〜コミニュケーション力を上げたりするなど強化していきましょう。
1.金額を決める
1-1. 500〜1,000円ずつ上げるプライシング方法
もっとも生徒さんの離脱が少ないのが「500〜1,000円以下の値上げ」です。
おおよそ消費税ぐらいの金額になりますので、物価高騰がつづく現在では、かなり受け入れやすい金額になります。
実際にわたしたちがサポートしている先生方のお教室でも、500円ぐらいの値上げであれば離脱はほとんど起こりませんでした。
1-2. 1,000円超過して上げるなら付加価値が必要
離脱する生徒さんが出てくる値上げ幅としては「1,000円以上」が目安になります。
当たり前ですが1,000円以上になると、必ず大台の金額が変わります。
例えば、元値が7,000円であれば8,000円に、8,500円であれば9,500円といったぐあいで、千の位が変わるとインパクトが強いです。
1,000円以上の値上げであれば、物価高を理由にするだけは厳しくなってきますので、価格に納得してもらえる理由(それだけの付加価値)が必要になります。
1-3. 千の位の「心理効果」に気をつけて判断しよう
例えばおなじ500円の値上げだとしても
・「7,000円」→「7,500円」になるのと
・「7,500円」→「8,000円」になるのとでは
パッと見の印象がかわってきます。
これは一説によると「人は左側の文字ほど先に読んで意識に残りやすい」ため、7千円台と8千円台では実際の金額以上に差があるように感じやすい、とも言われています。
逆にいうと、千の位が同じであれば、500円の値上げであろうが、700円の値上げであろうがそこまで差を感じにくいのも面白いところです。
例えば
・「7,000円」が「7,500円」になるのと
・「7,000円」が「7,700円」になるのとでは
そこまで差を感じないという人も多いのではないでしょうか。
本来、値上げというのは「目標の売上」「提供している価値」「相場」で決めていくことが多いですが、こういった心理効果もひとつの参考になります。
2. 伝えるタイミングは”できるだけ早め”に
値上げをする場合は、生徒さんの心の準備や、すり合わせの時間が必要になります。
そのため
・できるだけ早めに
・何回かに分けて段階をふむ
というステップがとても大切です。
2-1.新規生徒さんはいつでも値上げしてOK
基本的には「新規募集」と「既存生徒さん」を一緒に値上げをするのが無難です。
一緒に値上げをすればみんなに同じ説明をすれば良いので、教室側としては楽になりますよね。
ただ説明の仕方によっては、新規募集の値上げであればいつ変更をしても問題ないことが多く、むしろ既存生徒さんへの説明がしやすくなる場合もあります。
先に新規募集の分だけでも値上げができれば資金面では楽になるのも事実です。
どちらをとるかは教室の状況によって選んでください。
新規募集から値上げして、あとで既存生徒さんを値上げする場合は、教室のスタンスとして
「◯年◯月から新規生徒を対象に価格改定させていただくことになりました。現在通われている生徒の皆様については、ご説明の期間もふくめて、◯年◯月から価格を改定させていただきます」
というニュアンスで周知を進めていくと、うまくいきやすいです。
2-2.既存の生徒さんは3ヶ月〜半年以上前からがオススメ
既存の生徒さんの場合は、いきなり値上げをしてしまうと、びっくりして離脱されてしまうことも多いです。
そのため告知は2〜3回に分けて段階的に伝えていくことが重要になります。
まず最初は半年〜1年前から軽く告知していきましょう。
そして値上げする1〜2ヶ月前に本格的な告知をします。
2-3. タイミングは”新年度”や”お休み明け”を利用する
値上げするタイミングは、新学年や、新学期になるときをうまく利用するのがオススメです。
あえて覚えやすいタイミングで値上げをすることで気持ちの切り替えをうながし、かつ、もし値上げを忘れていても「新年度から価格改定がありまして」とご説明すれば思い出してもらいやすくなります。
ちょっとしたことですが、クレームになりにくいポイントです。
3.伝え方は直接話す&書面がオススメ
生徒さんとの関係性にもよりますが、基本的には直接お話することが1番すれ違いがおきません。
もちろん書面や記録に残すことも重要ですので、まずは書面などで軽く説明していきながら、場合によって直接ご説明をするというのがオススメです。
3-1.告知方法① 教室内の貼り紙
生徒数が多かったり、大きな教室の場合は、まずは貼り紙などで周知していくのもオススメです。
待合室や受付などに貼っておけば、お話しするときのきっかけにもなります。
3-2.告知方法② 月謝のときにお手紙をわたす
月謝袋などを採用している先生の場合は、それと一緒に価格改定の書面にしてお渡しします。
1点、お渡しする時には口頭で
「価格改定をすることになって、お手紙を書いているので、確認しておいてください」
という旨をお伝えしましょう。
ひと言いっておくだけで丁寧に感じてもらいやすいですし、心の準備ができることでよけいなクレームを避けることができます。
3-3.告知方法③ 直接説明してすり合わせする
値上げの”最終防衛線”とも言えるのが、直接説明できる機会です。
書面等だけで説明できていれば問題ありませんが、どうしても一定数は納得のいっていない生徒さんも出てきます。
ですが、意外と直接お話しできれば解決することも多いですので、違和感を感じた場合は、できるだけ直接お話できるタイミングをもうけましょう。
×おすすめしない告知方法:LINEで伝える
音楽教室の場合は先生と生徒さんの距離が近いため、LINEで伝えるとそっけなく思われてしまう可能性があります。
また逆に心のこもった内容にすると長文になってよく読んでもらなかったり、質問が返ってきた場合にお返事に時間がかかってしまったりと、あとあと不都合が多くでてきやすいです。
その点、直接説明すれば相手の理解度にあわせて説明できますし、事前に書面でお伝えしていれば次に会ったときに不明点だけお話しすればスムーズに進みます。
お話しするときは
「この前のお手紙読んでいただけましたか?」
「大丈夫そうですか?」
「なにかご質問ありませんか?」
といった感じで、生徒さん〜保護者さんの様子をうかがいながら説明をしましょう。
4. 値上げ理由ごとの説明
当たり前ですが、値上げの理由によって、先生のスタンスや伝える言葉も変わってくるかと思います。
以下、参考にしてみてください。
4-1. 伝え方① 物価高騰を理由にする場合
よくあるパターンですが、物価高騰による値上げの場合は「大変申し訳ないんですが」といった説明がベターです。
あくまでも「本来は値上げしたくないけど、物価高騰の影響を受けてきびしいので、値上げさせていただきます」というスタンスになります。
4-2. 伝え方② サービス向上を理由にする場合
サービス向上を理由に値上げの場合は「ご理解いただきありがとうございます。生徒さんに還元できるように頑張ります」というスタンスがとても重要です。
基本的に値上げして喜ぶ生徒さんはいませんので、どこかで納得していない気持ちが出てきます。
あまりへりくだる必要もありませんが、もともと合意していた金額から変わることになりますので「ありがとうございます」または「申し訳ないです」という姿勢をしっかり伝えることがとても大切です。
4-3.「値上げ」→「価格改定」と言い換える
当たり前ではありますが、値上げのときに真正面から「値上げします」というのは悪手です。
値上げをするときは「価格改定」といった表現にすることで、若干ですが受け手の印象も変わります。
あくまでも「適正な値段に改めます」という表現に変えることで、生徒さんもそうですし、先生ご自身も話しやすくなるはずです。
5. 一度値上げしたら下げにくくなるので、慎重に改定しましょう
最近は物価高騰もありますし、世の中的にも高価格のサービスや商品を販売する流れは強くなってきています。
ただ一方で、一度値上げをすると、なかなかもとの料金まで下げることができません。
例えば9,000円で通っていた生徒さんがいるとして、次から8,000円になると言われると、なんだかレッスン内容が低下したり、高く支払っていた期間が損していたような気持ちになってしまいます。
値下げで安くなるのは嬉しいとはいえ、不信感からやめるきっかけにもなるので、価格を下げることも大変なのです。
まずはご自身が値上げしたい理由を整理してみてください。
すでに生徒さんが満員〜満員に近い状態の場合は、値上げのタイミングだと思います。
うまくいきますように!